【開催報告】Noliette 永井紀之シェフが織りなす「冬のフランス菓子の世界」

11月27日に【Noliette 永井紀之シェフが織りなす「冬のフランス菓子の世界」】を開催いたしました。
永井シェフからはお菓子作りのレシピをご紹介いただきながら、デバイヤー商品の魅力についても語っていただきました。

共同開催させていただいた厨BO!YOKOHAMA様から届いた当日レポートを、ご紹介します!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【開催報告】Noliette 永井紀之シェフが織りなす「冬のフランス菓子の世界」

コーンズ・アンド・リミテッド・カンパニー、厨BO!YOKOHAMA主催

2023/11/27 開催
20231127-114.JPG
11月27日(月)にフレンチを始めとするレストラン・飲食店、洋菓子製造に関わるプロの料理人、パティシエの方等を対象に洋菓子講習会を開催しました。
講師には日本を代表するパティシエ「Noliette(ノリエット)」の永井 紀之氏をお迎えし、「冬のフランス菓子」をテーマに、柔らかさにこだわったモワルーショコラやレモンとクリームチーズのタルトなど3品の洋菓子を実演いただきました。
また今回は1830年の創業以来、製品の多くを職人の手仕事で仕上げるフランスの老舗 調理器具・製菓用品ブランド「デバイヤー(de Buyer)」と永井シェフがコラボし、調理器具のご紹介も。永井シェフから見たデバイヤー商品の魅力についても語っていただきました。

【第一部】調理実演

---------------------------------------------
『ペカンナッツのキャラメルショコラ』
---------------------------------------------


20231127-298.JPG一品目は「スイートメーカー コーティングシステム(デバイヤー)」を使いました。ペカンナッツを砂糖を煮詰め、飴状になるまで火入れししたキャラメルでコーティングします。デバイヤーの高性能な5層ソースパン(アフィニティ)を使用して温度調節やバターを加えるタイミングなどポイントを丁寧に説明いただきました。ナッツが冷めたところでいよいよスタンドミキサーにコーティングシステムを接続してチョコレートのコーティング作業です。ペカンナッツは、普通のアーモンドよりも表面の凹凸が深いのでコーティングするには少し工夫がいるとのこと。失敗を防ぐポイントは材料の温度と機械の回転速度とのバランスが重要で、永井シェフは少量ずつチョコレートを加える度にチョコレートと中のペカンナッツの温度と状態を確認しながらコーティングシステムを操作していました。最後にコーティングシステム内部に張り付いたチョコレートも余すことなく、もう一度調温して使います。ペカンナッツやクルミなどは出っ張った上下部分のみチョコレートが付きにくいため仕上げは手作業で行いました。分量全てのチョコレートでペカンナッツがコーティングされ、完成する頃には、最初大きかった回転音が柔らかな音に変化していました。ビターな大人の味わいの小さなお菓子となりました。


FFCC用ピーカンナッツ.jpg▲左)キャラメルコーテイング。バターを加えるタイミングが大切。アフィニティソースパンを使用
中央)コーティングが終わった状態。バラして冷ます。このままでも美味しい
右)「スイートメーカーコーティングシステム」を使ってチョコレートをコーティング

--------------------------------------------
『レモンとクリームチーズのタルト』
---------------------------------------------20231127-302.JPG

2品目は、爽やかなレモンの酸味とクリームチーズとメレンゲのバランスが素晴らしいタルトを教えていただきました。「パンチング タルト型 ラウンド(デバイヤー)」を使います。このタルトリングの最大の特報は、細かな穴が空いているため、火の通りが早く短時間で焼き上がること。さらに同様に穴の開いた「パンチング天板(デバイヤー)」と、「シリコンエアーマット(デバイヤー)」とを併せて使用することによって、生地の下焼き時に重石(タルトストーン)を使わず短時間で焼くことができます。作業をひとつふたつと簡略化できる優れものです。永井シェフによると、この型の使用時のポイントは焼成時に生地が柔らか過ぎるとパンチングから出たりしてしまうので、使用する生地は2番や3番生地のように粉の割合が多い生地が適しているとのことでした。ムース・フロマージュの上には「ピストンファンネル(デバイヤー)」を使ってナパージュを塗ります。多くのディポジッターは液だれしてしまうことがありますが、「ピストンファンネル」は作りがしっかりしていて水でもピタッと止まり、スムーズに作業ができるのがいいですねとのこと。ナパージュの仕上げに「ラージシリコン刷毛(デバイヤー)」を使用しました。シリコン製と思えない繊細な毛と触感で、シェフを始め触ってみた多くのお客さまが使ってみたいと注目した製品でした。

レモンタルト2.jpg

▲(1段目左)「パンチングタルトリング」と「パンチング天板」「シリコンベーキングエアーマット」でタルト生地を焼成。(1段目右)焼き上がり。
▲(2段目左)クレーム・シトロンの上に載せるムース・フロマージュを「ピストンファンネル」でグラサージュがけ、(2段目右)組み立て途中
▲(3段目左、4段目)ムースの周囲にイタリアンメレンゲを絞り、軽くバーナーであぶったら、レモンコンフィなどで飾り、仕上げる。
(3段目右)シェフも高評価。参加者からも注目が集まった「シリコン刷毛」

---------------------------------------------
『クラシックショコラ モアルー』
---------------------------------------------

20231127-308.JPG
なめらかさを追求し、冷・温どちらでも美味しく味わえるレシピです。チョコレートのカカオバターの含有度によって焼き上がりや、生地の締まり方が変わるとのこと。この日も2種類のチョコレートを合わせて使用しました。また味や固さ調整のための砂糖の使い方についても永井シェフからご説明がありました。今回使用したトレハロースやパラチニット等、糖として何のために、どのように使うのかを考えて使い分ける必要があることを教えていただきました。さらにセミナーではクレームアングレーズとフルーツを添えて皿盛りバージョンも披露していただきました。添えるフルーツも酸味が強いとチョコレートのえぐみを感じてしまうので気を付けて、とのこと。また全体の味のバランスを考え、上に絞るホイップクリームには砂糖を加えませんでした。仕上げの生クリームは樹脂製口型「トライタンノズルのスター型(デバイヤー)」を使って絞り出します。デモンストレーションの中で材料を混ぜる作業には「エルゴノミックホイッパーGOMA(デバイヤー)」を使用し、握りのフィット感やステンレスワイヤーの硬さの良さを指摘されていました。
なお、クラシックショコラの火入れは100℃以下、今回は93℃で40~50分と低温でじっくり焼くのがポイントとのこと。

モワルー.jpg▲低温でじっくり焼き上げるのがコツ。ココットの周りを温めてショコラ生地を取り出す。

【第二部】試食&シェフインタビュー

shop.jpg▲(左)お店の看板は永井シェフによるもの。店内の床のタイルや壁の絵もシェフの作。(右)京王線・世田谷線下高井戸駅より徒歩3分。商店街の先にあるノリエット。店の向かいは有名なたい焼き屋さんも

参加者に、3品をご試食いただき、デバイヤーの商品の説明をご紹介後、シェフインタビューを行いました。抜粋していつくかご紹介します。

◎お店を今の場所にしようと思われた理由は?
おしゃれなお店を目指すなら青山や恵比寿などを選ぶのかもしれません。でも自分がやりたいお店のイメージではなかったんです。もともと地元が今のお店の近くだったこともあり、自分が生まれ育ち、良く知っている場所で、そしてあまり師匠のお店に近くないところがいいなと思い探して出会ったのが今の場所です。

◎洋菓子以外にも、アイスや総菜、クロワッサンやパンオーショコラなど美味しそうなタペストリーを始め、チョコレートや焼き菓子まであり、品揃えの多さに驚きました。全てお店で作っておられると伺いました。どんな思いでされているのでしょうか?
「カスレやコンフィなどの総菜も自分で作っています。品数が多くて確かに仕込みも大変です。本当は売上のことを考えると品数を絞って沢山作るのが良いとは思うんですが・・・。いろいろあると楽しいじゃないですか。」と話される笑顔が印象的でした。

◎お店の看板や床のタイル、店内に飾られたお米で描かれた絵(ライスアート)もシェフが作られたと伺い、とても器用でいらっしゃることにも驚きました。30周年を迎えられましたがこれからやってみたいことはありますか?
この質問には料理人からキャリアをスタートされたからか、意外な答えが。
「お菓子屋をやめて1人で10人位のカウンター席があり、お客さまと話しながら最初から最後まで私が料理を作って出すような店を10年くらいやってみたいですね。」とのこと。

◎最後にシェフに、飲食店やこの業界で働く方へメッセージをお願いしました。
メッセージというものではないですが、と語られた内容がとても印象に残りました。
『マスコミやネットの取り上げ方には疑問を感じていて、一回食べたことがある、一回行ったことがある、とか遊園地に行くみたいに「ウケるもの」がもてはやされているのは違うなと感じていて、私は「人の食生活を支える」のが自分の役割だと思っています。そしてその食生活が「少しいいものになるように」と思いやってきました。毎日の食生活を支えるものでありたいです。』というもので、30周年を迎えられた「ノリエット」が愛される理由を見つけたような気持ちになりました。
「お菓子はもちろんですが、生地等をスケッパーで残りなく無駄なく最後までキチンと使い切られるところに感動しました」という参加者や、質問に溢れる知識で丁寧に答えてくださるなど、常日頃のシェフ仕事への姿勢を随所に感じることができた講習会でした。

20231127-200.JPG【参加されたお客さまの声】
◎de Buyerの商品の凄さや、永井シェフの細かい技術をお聞きできてよかったです。
◎普段作る時には気づかない細かいところの工夫点がとても勉強になりました。デバイヤー商品も使ってみたくなりました!
◎直ぐに採用できるようなメニュー構成で役立てることができそうです。
◎永井シェフの気さくな人柄や語り口が、とても良かった。
◎レジェンドシェフのお仕事を拝見でき貴重な体験でした。
など多数のご感想をいただきました。ありがとうございました。

IMG_7011.JPG20231127-083.JPG▲フランスの調理器具ブランド『 de Buyer(デバイヤー) 』との共催により、多くの注目商品をご紹介しました。最も有名な鍋以外にも魅力的な製品が多く、シェフによる実際に使用した感想はとても参考に。

本日のレシピは別途公開の予定です。お楽しみに。厨BO!横浜で初めての洋菓子講習会。今後もご期待ください。

【講師】
chef2.jpg永井 紀之(ながい のりゆき)氏
『 Noliette 』オーナーシェフ

1961年生まれ。辻調理師学校フランス校卒。東京・世田谷「オー・ボン・ヴュー・タン」にオープニングスタッフとして入社、2年後渡仏。南仏・ヴァランス「ダニエル・ジロー」、グルノーブル「ドゥ・ヴェルバル」、パリの二つ星「ミッシェル・ロスタン」、ポンドイゼール「ミッシェル・シャブラン」、スイス・ジュネーブ「ホテル・インターコンチネンタル」、ルクセンブルグ「オーバーワイズ」など、ヨーロッパで6年間を過ごしたのち帰国。1993年に「ノリエット」をオープン、現在に至る。
製菓専門学校の特別講師として後進の育成にも力を注ぐほか、クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ理事なども務める。

パティスリー ノリエット
東京都世田谷区赤堤5-43-1 (下高井戸駅 徒歩3分)
Tel.03-3321-7784  営業時間 10:00~19:00 火曜、水曜定休


(写真提供:アートファイブ 一部除く)
---------------------------------------------

logo.jpg
デバイヤー/De Buyer
1830年にフランスの北東ヴァル・ダジョルで誕生。調理・製菓器具を製造し、今もなお熟練職人が多くの工程を手作業で行うという職人気質が受け継がれ、卓越した技術で作られたフライパンや鍋は世界中の一流シェフからの支持を集める。また企業として、フランス政府よりフランス料理部門企業で初めてCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的貢献)の認証を取得している。https://debuyer.cornes.jp/
輸入総代理店:コーンズ・アンド・リミテッド・カンバニー http://www.cornes-trading.com/

---------------------------------------------