株式会社エフ・エム・アイ コーポレートシェフ・パティシエ 松下 純さん

株式会社エフ・エム・アイのコーポレートシェフ・パティシエとして活躍するパティシエ松下さんにお話を伺いました
都内ホテルで経験を積み、数々のコンクールで入賞した後、2014年からは調理機器・食品加工機器の輸入販売事業を行うエフ・エム・アイのコーポレートパティシエとしてお菓子作りを指導をされています。数多くの調理機器・道具に触れてきた経験者ならではの視点でコメントをいただきました。


◆今のお仕事に至るまでの経歴
元々は京王プラザホテルに20年ほど従事していました。仕事を始めた頃はコックになるつもりでした。ところが最初、デザート担当に配属されて、キャリアをスタートし、そのままパティシエの道に進むことになりました。当時(90年代)はスイーツやパティシエという言葉もなく、師匠は自分のことを菓子屋と呼んでいましたね。
私は昔から読書が好きで様々な本を読むのですが、あるフレンチの伝記によると、レシピは元々は王様とその側近に料理の中身を示すものとして使用されていたそうです。王族の時代、王様の健康管理のためにも、非常に重要な役割を持っており、シェフパティシエはグランシェフの次に高給取りのポジションだったとのことです。コックと同様に重要なパティシエの仕事を知ることによって、仕事のやりがいが大きくなっていきました。
洋菓子業界はコンクールが多く、若い頃は多くのコンクールに挑戦しました。何度も挑戦し続けた結果、幾つか賞をいただいたものもあります。その頃の経験は今の自分にとって大きな糧となりましたね。今もお皿に盛りつけたデザート(アシェット・デセール)やパフェ作りは好きです。
20代の頃はずっとホテルでキャリアを積むものと考えていましたが、30代で様々な活動を通じて、自分たちで作ったものを売れるまで育てる、インストラクターとしてのスキルを伸ばしたいと考えるようになりました。その後、FMIにて、同社で販売する製菓関連機器を活用してお菓子作り全般をサポートしています。
更に今春にはコンサルティング会社を設立して、更に幅広く今までの知識・経験を活かした活動をしていきたいと考えています。
◆お菓子作りで大切にしていること
若い頃は美味しいものを作り、現場がうまく回っていれば良いと思っていましたが、多くのコンクールに挑戦して、味だけでなく美的センスやレシピの見せ方も評価されることから、挑戦して多くのことを学び、納得できるものを作る忍耐力が大切です。
私はよく「お菓子づくりは化学」と表現しています。
レシピに書いてあることを実践しても、部屋の温度や湿度、食材のコンディションなど、周りの環境によって、うまく再現されないことも多いです。
ほんの少しの要素の違いが、結果に大きく影響することもあり、それはまるで化学の世界です。
何がベストであるか一言では言えず、食材についてよく知ることが大切です。
◆製菓・製パン道具に求めること
道具を変えたからといって劇的に味が変わるようなことはありません。
長く業務の世界を知る者としては、どれだけ時間短縮できるかが重要です。
作業効率をアップさせて、労働時間削減、そして人件費削減といったコスト削減も大切ですが、現場担当者の時間の余裕ができることによって、新しいレシピを考えたり試したりする時間ができると良いですね。
道具は愛着をもって長年使用される人が多いので、耐久性や使い勝手ももちろん大切です。
◆デバイヤーの印象について
昔からデバイヤーはいいよ!と話を聞くこともあり、私も含めて良質で高級なイメージを持っている人が多いと思います
料理人の憧れ・ロマンのような感覚で、「いつかはデバイヤー」いうイメージですかね。
◆実際に使用されてみた感想
全体的な印象として細かいところまで作りこまれており、使い心地の良さを感じます。
タルト型や天板などは、角までバリもなくしっかり仕上げられており、優しい手触りで痛くないのも良いですね。
■パンチング(穴あき) タルト型
軽くて使いやすいです。
タルト生地を切り分ける時は、エッジまで磨かれているので手で押さえてもあまり痛くありません
フォンサージュ(タルト生地を型に敷き込む)について、以前は一度型の中に敷いて後から余った分を切り離す方法(写真①)が主流でしたが、最近は下と側面と生地を切り分けて敷き込む方法(写真②)で仕上げることもあります。この新しい手法と、この穴あきのタルトリングは相性がいいです。
今回は直径6.5cmのタルトリングを使用しましたが、通常20分くらいで焼成するところ、18分でいい塩梅となりました。穴があることによって熱が通りやすく、2分の時間短縮ができました。
写真①
写真②
シリコンエアーマットの上で焼成することにより、膨らみ防止で使用するタルトストーンが無くとも膨らまないことも大きなメリットですね。
(※以下、デバイヤー来日時の結果・写真です)
穴無しと穴有りリングで焼き比べてみたところ、パンチング(穴有り)の方が、よりドライで色もこんがり均一に焼き上げることができました。
■ラージシリコン刷毛
シロップの吸込みがよく、大変重宝しています。動物の毛のものより使い勝手がいいですね。
■ホイッパー
海外製品はグリップが太すぎるものもありますが、デバイヤーのホイッパーはちょうどよく、滑りにくくしっかり持つことができます。



◆株式会社エフ・エム・アイ
コーポレートシェフ・パティシエ 松下 純さん
都内ホテルで経験を積み、数々のコンクールで入賞、アシェット・デセールを得意とする。
2014年からはFMIのコーポレートパティシエとして同社の製菓関連機器を活用したお菓子作りを指導・サポート。
2024年春にはコンサルティング会社を開業予定。